2018.8.5
2010年7月17日 ⑵
家族とエレベーターの前で別れる時、正直どういう態度を表せばいいのかわからず、じゃあねぐらいの簡素な挨拶で看護師の方と手術室に向かう。
直接手術室に入るのではなく、明るい広間のような準備室のような所で、手術の担当の方達と合流し、手術の確認等をして車椅子のまま手術室に向かう。
手術室に入り、手術台に自分で上がる。
ドラマなどの手術に向かうシーンや手術台の場面では、手術する人はベッドに横たわりすでに麻酔が効いているようだったりで、まさか自分で手術台に上がっていくとは思わず、少し笑ってしまうほどこの時は手術に対する不安が薄らいでいたよう。
背中からの痛み止めの点滴を入れたり、手術のための装置が身体に着けられ、すぐ麻酔が効きますからねといられて心の準備をする間もなく、次に名前を呼ばれ目を開けたら手術は終わり麻酔から醒めたようだった。
主治医が、無事終わりましたよといってくれているが、手術はどこまでの内容だったのか、今は何時なのか知りたいと思った。
なったことはないが、まるで身体中が金縛りにあったように固まって、呼吸も苦しく頭から足の指先まで全く動かず、喋りたくても喋れず自分ではもがいているのにぴくりともしないことに、このまま死んでしまうのではないかと思った。
その後の記憶が途切れ途切れなのは、たぶんまだ麻酔から完全に醒めていなかったからだと思う。
術後室で目が醒めた時は、寒くて寒くて、上手く喋れないながらも看護師の方が毛布を足してくれた。この時には身体の金縛りのような感覚もなくなってきていたようだ。
次に目を開けた時には家族がベッドの周りに集まってくれていて、手術はどうだったのか、手術時間はどのぐらいかかったのか教えてもらう。
切除した腫瘍は8.3㌔、手術時間は予定の半分ほどの4時間だったこと。
最悪の事態はなく、切除したのは腫瘍のみだったこと。
ああ私は助かったんだと、これでこの病気が治ったんだとほっとしたのが、この時の私の本音だった。